僕が遠征2年目でビワコオオナマズを釣り上げた話。

ビワコオオナマズ遠征

2023年11月13日 雨上がりの午後の事である。

ジャーーッ、ジャーッ……!
リールから激しくラインが引き出される。

ドラグを締め込み素早くリールのハンドルを巻くと一瞬だけそのシルエットが浮き上がった。

流れの中で体をくねらせ、全身で抵抗する青白い魚影…
一気に心拍数が上がるのを感じた。

「バスと違う、

ビワコオオナマズや…!!!!」

 

 

 

 

 

これは僕が遠征2年目にしてビワコオオナマズを釣り上げた思い出と、その過程での様々な出会い、出来事を綴った記事になります。 少し長くなる部分もありますが、読み物として楽しんで頂ければ嬉しく思います。

 

まずビワコオオナマズという魚について。

ビワコオオナマズ(Silurus biwaensis)

琵琶湖と、その水系に生息する国内最大級の淡水魚。

和名・学名ともに「琵琶」の名を冠するイケイケの日本固有種で、大型化する外来魚であるブラックバスを捕食する事が出来る数少ない在来魚でもある。

北海道のイトウ、高知のアカメに並び、琵琶湖の主たるビワコオオナマズは日本三大怪魚に数えられる。本種は一生を淡水域で過ごす国内の純淡水魚の中ではトップクラスに大きい魚と言って良いだろう。

近年では減少傾向にあるそうで、生息密度の薄さも相まって釣り上げる事がかなり難しくなっているという話も聞く。運もあるかと思うが、実際にその姿を見るまでもかなり苦労した。

上記の三種類の中から釣るならば、まず最初の一種目はビワコオオナマズにしようと思った。個人的にナマズに強い興味を持っていた事、なんとなく、すぐ釣れそうな気がした事が理由である(実に甘い考えだった)

  • 第一回目

琵琶湖で狙うにはフィールドが広大すぎてポイント選定に途方もない労力と時間がかかるだろうという予測から、本湖からの流出河川にポイントを絞る事にした。

 

そんな訳で2022年の秋に、住んでいる香川県から琵琶湖の流出河川がある京都のとある有名河川に通い、ビワコオオナマズを釣り上げるチャレンジが始まったのである。

9月に申請した連休中に狙いに行く予定だったが、まるで嫌がらせのようなタイミングで予定日に台風が到来。当初の計画は温帯低気圧となり消失した。

天気予報を見て吐きそうになった。

その翌月再び連休を申請し早朝の高速バスに乗って、まずは京都駅まで向かった。聞いた話によるとビワコオオナマズは特定の縄張りを持たず、広範囲に生息しているらしかった。それならば、大体の目的地まで川の雰囲気と様子を見ながら10数キロを歩こうと思ったのである。

 

 

 

 

 

第一回目はルートやポイントを考えたり

あれもこれもと欲張ってはいけない…。

持ち物を選んだりと、出発前が一番楽しかった。遠征初心者だった当時は持ち物が多すぎて体への負担が尋常でなく、死にました(笑)

そんなこんなで、ようやくたどり着いた某河川。

最初にルアーでキャッチしたのは小バス。

当初ルアーでビワコオオナマズを釣るというこだわりが無かったので、このバスを餌にして狙えば良かったとリリースした後に気づくが、もう遅い。

Y氏との出会い

その後さらに移動した橋の上で、後にこの遠征のキーマンとなる人物のY氏と出会うことになる。

彼はとても気さくな人で、ビワコオオナマズの事や河川での魚の話などを色々と教えてくれて非常に有り難かった。

今夜橋の下で夜釣りで狙う事を話すと、

頑張ってね、この上流自○スポットだし、この付近の淀みは良く○体が流れ着くみたいやけど!あと最近人が○くなったから(以下略)

 

と爽やかな笑顔で教えてくれた。

いや、今夜ここで釣りするんですけど…怖すぎ。

とはいえ有力なポイント情報がその付近しかなく、恐怖心よりも釣りたい欲が勝ってしまったのは釣り人としての性だろう。

何かあったら車でレスキューするから!と連絡先を教えてくれた事が本当に嬉しかった。

そして日没後…。

日中の高い気温は嘘のように冷え込み、寒さの中、スーパーで買った魚を餌にしてぶっこみ釣りで待機しているとなにやら妙なアタリが…。

針に掛かったのは、なんと大きなモクズガニだった。

脚が2本欠けているが、立派な爪がかっこいい。そしてとにかくデカイ。

 

 

 

 

 

 

反省点として、流れの早い河川での釣りに慣れていなかった事もあるが、ライギョタックルをそのまま使った事がいけなかった。ラインが太すぎて手持ちの一番重いシンカーを使っても餌が一箇所に定まらなかった。(いきなり自己流で行くのは失敗のもとである)

置き竿で狙いつつも、ルアーで狙ったりと、かなりの時間粘ったがその日はビワコオオナマズの気配すら感じる事は無かった。

宿無し遠征だったので体を動かさなければ寒さに耐えられず、眠ること無く歩き続けて心身共に疲弊した真夜中の水辺で、腐乱したニゴイの死骸を見つけた。なぜ写真に撮ったのかは良く覚えていない。

移動する際、来たときには無かった花束が供えられていたのを発見した事も原因かもしれないが、疲労も重なり少し鬱っぽくなっていたような気がする。

 

その命が尽きれば変わり果てた姿に…。

元気に泳ぎ回るニゴイもいれば、死んでしまって朽ち果てていくニゴイもいる。「何か判断を間違えればお前もこうなるぞ」と誰かに言われているような気がして、今思えばすこし危ない感じになっていたように思う。

疲労困憊でポイントに辿り着き、寒さと恐怖感に耐えながら頑張ったが、結論として初回は大敗北である。

  • 第2回目 友人と

年が変わり2023年、4月のとある日に、前回狙ったポイントに友人と一緒に行く事にした。県外遠征は初めてだという彼は京都の町並みに心奪われて観光地で足を止めようとするが、僕は観光地フル無視の遠征計画だったので何とも残念そうな彼を尻目にズンズンとポイントまで移動した。(事前にプランは説明していたがw)この日はエサ釣りで複数仕掛けを投げ入れ、待機中はルアーをキャストして狙う作戦にした。深夜12時を過ぎると異常に寒かった。

夜通しぶっこみ釣りで狙い、仕掛けを回収するまでの間はずっとルアーを投げ続けた。震える寒さの中野宿して、明け方は水辺を歩き倒してポイント探しに徹した。止まっている時は釣り、そうでない時は歩き続ける。不慣れな遠征と野宿、あまりにハードな釣行スタイルに友人は完全にダウンしていた。

 

 

普段人目を気にして道端で寝転がるような事をしない友人もこの有様である。

 

 

 

 

 

 

平らな地面ならいざ知らず、河川の岩場で何も敷かずに仮眠を取るのは困難を極めた。どんどん体温を奪うし、そもそも体にフィットしない。岩場にもたれ掛かると、出っ張った岩が背中に当たるし、背中が痛くない場所に寝転がれば首は変な方に曲がる。僕はこれを超高反発マットレスと呼んだ。

結論はこの日もボウズであった。

帰りに落水した僕

 

 

 

 

 

 

 

  • 完全にやらかした第3回目

結論から書くとメインルアーを全て家に忘れてしまい釣りにならなかった。戒めとして記録に残すが、記憶から消してしまいたい。

辛うじて持ってきたスピナーベイトと現地で拾ったバイブレーション2個では到底メンタルを保つことが出来ず、2日間予定していたが日帰りになった。後に知人が「アホやなぁ!」と言ってくれた事で心が軽くなったのは良い思い出(笑)

思いつきで前日に遠征を計画し、徹夜で準備したのがいけなかった。

  • 第4回目 ようやく手にした魚は

まだまだ夏の暑さが残る9月、1日だけのスケジュールで再び京都に出発した。2回目の経験から、ルアーか餌釣りかどちらかに絞らなければ狙い方が定まらず、全力を出し切る事が出来ないという考えに至り、この頃からルアーオンリーで狙うスタイルに変わった。

タックルセッティングを見つめ直し、バンタムにPE3号、リーダーライン60lbというセッティングでJACKALLのTN80をリフト&フォールする釣りで狙う事にした。リフト&フォールを多用する釣りではカルコンのような丸形リールでは早い段階で手が疲れてしまい、メインリールはロープロリールに変更となった。

 

釣行開始数時間後、「ゴンッ」という感覚がロッドを操作する手に伝わる。

大きくアワセを入れてガンガン巻き取ると、ロッドのパワーもあって数秒ほどでアタリの主が現れた。

40アップのバスだった。

ロッドはモンスターキス社のパックロッド MV−65

 

 

 

 

 

 

本命とは違うが初めてまともなサイズの魚を狙いの河川で釣り上げる事が出来た事、60lbの太いリーダーラインで魚が釣れたこと、不慣れだった流れのあるポイントでしっかりとルアーをアクションさせられていた事で小さな達成感と自信を感じる事が出来る一匹となった。

魚種は違えど、初回から考えると自分にとってこれは大きな成長に感じられた。

また、最初の遠征で出会ったY氏が飲み物を差し入れしてくれた事、次回来るなら泊めてあげるから家においで!と声をかけて貰えた事が本当に有り難く嬉しかったです。改めてお礼申し上げます。

 

  • 第5回目

前回の釣行から1ヶ月が経過し、また友人を誘って2日間の予定で同じ河川に足を運んだ。初めてY氏に会う友人は最初は気を使っていたが、気さくなY氏の性格にすぐに打ち解けて仲良くなっていた。こういう繫がりが出来るのも遠征の楽しさであると思う。

昼から夕方まで、三人でポイントを移動しながらビワコオオナマズを探ったが、またしても音沙汰は無かった。

日没後、高さのあるダムから落ちてきたのか、下半身(肛門から下)にかなりのダメージを負ったウナギを発見して3人で協力して捕獲した。絶滅危惧種であるニホンウナギを食べるのもどうかなとも思ったが、かなりのダメージで弱り切っていたし、どうせ死ぬのなら…と持ち帰りY氏の家で宴会となった。

右からY氏、友人、僕。

和やかな雰囲気に友人も楽しげであった。

 

 

 

 

 

持ち帰ったウナギの方はというと上半身は非常に美味しかったが、大ダメージを負った下半身は内出血した箇所が化膿していた事もあり、捌いているときから食べた瞬間に至るまで衝撃の臭さで、しっかり焼いても蒲焼のタレを塗っても誤魔化しきれなかった(でもちゃんと完食した)。

話は逸れるが、Y氏が琵琶湖で捕ってきて冷凍していたワカサギの天ぷらを振舞ってくれたのが最高に美味しかったのを覚えている。琵琶湖に通える距離に住むY氏が本当に羨ましく思えた。

他のアングラーの存在

話は少し前後するが、Y氏が下流のポイントからルアーを拾ったと言って僕の所に持ってきた。それはラパラのフローティングマグナム(レッドヘッド)で、BKKのスナップに80lbほどのリーダーラインがついたものだった。

画像はネットから。

 

 

 

 

辛うじて残っていたのは数日後にリップを写したこの一枚のみ

この河川でこんなゴツいセッティング、ビワコオオナマズ狙いのアングラーの物で間違いないと確信した。

当時の写真が散逸してしまい残っていないのだが、ルアーのリア部分にPEラインを巻いて補強してある物だった。そのルアーを見れば道具をかなり大切に扱うアングラーなのだと想像できたし、もし可能ならまた持ち主の元に帰ることが出来れば、このルアーもさぞ幸せだろうと思った。

これが後に…。

苦難、そして

翌朝もポイントに立ち、あらゆるルアーをキャストし、思いつく限りの攻め方をしたが何の反応も得られず、どうして良いのかわからなくなってきた。やれる事は全てやっているし、何となくポイントも絞れてきたのに何も手応えが無かった。今やっている事が正しいのか、間違っているかもわからず、どうしたら釣れるのか頭を抱えそうになった。

というか実際、抱えた。

それでもルアーをキャストし続ける事を辞めなかった。諦めたら終わりだと思った。

 

ただただ時間だけが過ぎていき、日も沈みかけた頃、とある場所で大きな魚影を見つけた。

いた…!ビワコオオナマズ…!

僕は生まれて初めて生きているビワコオオナマズを目撃した。まるでガンブルーのような金属的な青みを帯びた魚体は、写真撮影する間も惜しんで見つめてしまう程に神々しく、その姿を見た瞬間に僕の中で時間が止まったように感じられた。

「デカイ…!120cmはある…!」

全身にビリッと電気が走るような感覚に襲われた。手が震える程の衝撃だった。

震えるその手で急いでクランクベイトをキャストし、ビワコオオナマズの目の前に通す。一瞬、ビクッと反応し、ルアーを追いかけてきた。

食う…!

そう確信した。ところが、ルアーまでわずか数センチの距離まで近づいた時、突然興味を失ったようにルアーを追わずに反転し、深みにその姿を消してしまった。

神殿の主

しばらくしてY氏がやってきて、先程の事を説明している最中に遠目にぼんやりと浮かんだビワコオオナマズのシルエットを見つけて、大興奮していた。地元でも滅多に見れない大物だという事だったが、何度キャストを繰り返しても反応は得られなかった。

それ以降、再びビワコオオナマズが姿を現す事は無かった。

僕達はビワコオオナマズを見つけたポイントの特徴から、そこを「神殿」と呼ぶようになり、そのビワコオオナマズを「神殿の主」と二つ名で呼んだ。

やっと姿を見る事が出来た嬉しさと、ルアーまであとわずかの距離で食わせ切れなかった悔しさが入り混じる複雑な気持ちでタイムアップとなった。あと一日あれば…と何度も思ったが友人の都合もあり、その日は後ろ髪を引かれる思いで帰宅した。それでも目標のビワコオオナマズに確実に近づいた気がして、自分の中の情熱がさらに燃え上がるのを感じた。

遠征再び

前回の釣行から帰宅後、食わせ切れなかったビワコオオナマズの事を思い出し、毎日毎日、悶々とした時間を過ごした。(一度でも本気でこの魚に挑戦した人なら皆同じ感覚になると思う)

僕が帰宅して数日後、Y氏からビワコオオナマズと思しき魚の写真が送られてきた

 

 

 

 

 

 

 

別の友人に先日の遠征の事を話すと「でも食わんかったんやろ?目の前で針から外れた訳でもないし、それは惜しくないよ!また狙えば良いやん」という謎の励ましを貰った。居ても立ってもいられなくなった僕は妻に無理を言って「年内はこれでラストにするから、来月またビワコオオナマズ狙いに行かせて欲しい」と頼み込みOKを貰った。この事は今でも本当に感謝している。

実はこの時期、職場でのハードワークでかなり無理をして体調を崩して休職期間中だった為、予定はある程度自由に組むことが出来た。療養の釣りなのだと、釣行に専念することにした。

  • 第6回目 最後の遠征

11月に入ってから6日間の遠征予定日を組み、単身京都へと向かった。またビワコオオナマズにチャレンジするならとY氏が快く自宅に泊めてくれる事になった。この挑戦の終盤は、彼の協力無しには成り立たなかっただろう。

遠征の回数が増える度に、持ち物とパッキングは洗練されていく。

初日はY氏宅で昼食を食べて午後からスタート。ポイントを繰り返し移動しながらルアーをキャストし続けたが魚からの反応は得られなかった。

翌日以降、Y氏の家の最寄り駅から始発で河川に出発し、早朝からポイントに通う日々が始まった。

雨天でも休まなかった

毎日毎日、複数決めたポイントに通い、ルアーをキャストし続けた。投げるルアーはTN80、レンジバイブ80、メタルバイブなどのバイブレーション系ルアーを中心に、合間にクランクベイトやビッグベイト、ミノーをキャストするというのをローテーションしたと記憶している。

一日8〜9時間以上リフト&フォールだけを繰り返した日もあった。それだけ繰り返してノーバイトで精神崩壊するかと思った。また、チャレンジ終了後に別の釣りでリフト&フォールをすると動悸がするようになってしまい、もはやPTSD状態だった。

予期せぬ大物

前回ビワコオオナマズを見つけた「神殿」でクランクベイトをキャストしていると、小さめのバスが一匹釣れた。Y氏は「持って帰って食おう」というので、久しぶりにバスを食べたくなった僕も同意してキープする事にした。(淡水魚を食べる内容もそのうちブログに書こうと思うので興味があれば是非読んで欲しい。)

あと二匹は欲しいというY氏に、僕は笑いながら「どうかな、釣れるかな」などと返事してルアーを数回キャストし巻いていると、手元に「ガツンッ!」という衝撃が伝わり、ロッドが大きく曲がった。

「来たっ!!!」

思わず叫ぶ僕の元にY氏が駆け寄ってくる。ロッドの曲がり具合と瞬間的な引きの強さから二人ともビワコオオナマズを確信した。これを釣り上げれば明日には家に帰れる!と帰りのバスのチケットの事まで考えた。

タックルセッティングに不安は一切無かったので強引にリールを巻くと、なんだかあっけなく、数十秒程度でするすると寄ってきた。そしてあっさりと魚をぶっこ抜いてしまった。

あれ…何か小さい…いやデカイけど!!

僕は魚を見て膝から崩れ落ちる感覚がした。悔しく、でも嬉しい…いや正直なところめちゃくちゃ悔しかった。

ブリブリのデカバスやん…。

55cm・3Kg 意図せず自己記録更新となった。

顔では笑っているつもりだが、目が笑っていないのは悔しさから。

 

JACKALLのディグルを丸呑みしている

新品だったルアーに大きく歯型が入る

嬉しいけど、今狙ってるのはキミじゃない…。

神殿の裏ボスと呼ぶべきか…、敬意を払いリリースしようと思っていたが、Y氏が「持って帰ろう!!食おう!!」と言うので、少し話し合ったが2匹とも血抜き締めして持ち帰り、その日の晩飯になった。

まな板の上に乗せると、とんでもないデブバスだ…

 

 

 

 

 

 

煮付け、フライ、塩焼き、アラ汁、肝と胃袋の湯引き(ポン酢)

 

 

 

 

 

 

僕が捌き、Y氏が調理した。良い餌を食いまくっていたのか脂ノリノリで、臭みが全く無かった。どの料理でも非常に美味しかった。しかし淡水魚ゆえに刺し身で食べる事が出来ないのが唯一にして最大の欠点である。胃袋と肝の湯引きは一口食べるまで抵抗はあったが、しっかり熱を通している事もありどんどん食べてしまった。美味しかった(笑)

「絶対食べない!」と嫌がるY氏の彼女に、彼が無理やりバスのフライを食べさせていたのを僕は黙って見守る事しか出来無かった。

めちゃくちゃ嫌がっていたのに、急に抵抗するのをやめて「……美味しいやん…」と言っていたのが面白かった。

 

日も昇らぬ早朝から歩き出し、ルアーを投げ続けてクタクタになって飯を食べ、夜は気絶するように眠る。そんな日が続いた。

とあるアングラーとの出会い

ある日、熊本県から来て15日以上粘っているというアングラーの方と出会った。SNSのフォロワーの方から噂には聞いていたが、日中の暑さに負けずフローティングベストを着込んでロッドを振るスタイルが印象的だった。

最初は挨拶程度の仲だったが、毎日同じポイントで顔を合わせるうちに各々の苦労話になり、連絡先を交換する流れになった。互いに名を教え合い、自己紹介をした。彼はSと名乗った。(以下S氏)同じ苦労を分かち合う仲間として最初から決してライバル視はしていなかったが、戦の時に自らの名前を名乗る武士とはこういう感じなのだろうと思った。気迫というか、ビワコオオナマズ釣りに対する情熱、執念のようなモノをお互いに感じ取ったように思う。少なくとも僕は感じた。バチバチに。

そしてその日から数日間、行動を共にするようになったのである。(この釣行が縁となり、現在でも釣りの話をする仲になった。)

ルアーの持ち主は

S氏のタックルはシマノのワールドシャウラにカルカッタコンクエストというヘビータックルで、大物を仕留めるという強い意志を感じさせるセッティングだった。

リーダーラインも80lb以上、青物狙いを思わせる特徴的なノットにBKKのスナップ…

見覚えがあった。

「そういえば15日以上前からこの河川にいるんですよね、下流でラパラのルアーロストしませんでしたか?」と聞くと

S氏は「うん、無くしたよ」

僕はルアーケースからラパラのフローティングマグナムを取り出し彼に見せた。

「これ、そうですよね(笑)」

S氏「あっ!帰ってきたw」

自分がルアーを見た時に「持ち主の元に戻れたら良いな…」と思っていたが、思った通り、帰るべき場所に帰ることが出来たのだ。友人のY氏が拾い、自分経由で持ち主のS氏に戻る…人との繋がりを感じる、なんともエモいストーリーである。

怪奇現象

 

何日目だったか、深夜12時半を過ぎたぐらいだったと思う。

「神殿」で立ったままルアーチェンジしていた時だった。人が走って横切って行った時の風切り音のような、手のひらで耳に風を送った時のような「フッ…」という音が右耳元に聞こえた。反射的に振り返った先にはヘッドライトが闇を照らすだけで、そこには誰も居なかった。風は吹いてなかったし、Y氏はかなり離れた位置で釣りをしていたので、何とも言えない薄気味悪さを覚えた僕は、「この辺、なんか噂ある?」と彼に聞くと「四つん這い女の怪談が…」というので、京都という土地柄もありすっかり怖くなってしまい、時間が遅いから…と適当な理由をつけて、逃げるようにそそくさと帰った。ささいな話ではあるが、この話をS氏にしたところ、ほぼ同じポイントで「俺も夜中の2時ぐらいに水面近くに緑の火の玉が浮いてるのを見た、夜のあそこはヤバイ」という話を聞いて血の気が引いた。

真相は不明だが、夜の水辺には確実に得体の知れない「ナニカ」がいる気がした。今居る水辺の深夜…日付が変わってからの三時間程は人間が活動する時間帯ではない、という意見が一致し、日没までの釣行に専念する流れとなったのである。

ビワコオオナマズ狙いで京都の某河川に実際に行った方なら文章だけである程度の場所がわかると思うので、もし同じように不思議な「ナニカ」を見たり感じたりしたらコメントで共有してくれると嬉しく思う。

人の気配を感じたり、夜にウェーディングしていたら金○が痛くなった、幽霊に○玉を掴まれたに違いないという話をSNSのフォロワーの方から聞いたので、同じような話があれば情報求む!笑

珍客

ある日、S氏と早朝から現地で待ち合わせをし、リレー方式でポイントにルアーを撃ち続ける作戦をとった。釣れると信じて約9時間、無心でルアーをキャストし続けたが、ノーバイトで終了となった日の帰りの事である。

「神殿」の近くでヌートリアが…。

バーブレスフックにしておいて良かった

小さいからと舐めてかかると…

 

 

首根っこを掴んでフックを外そうとすると、すごい勢いで頭を反転させてきて、もう少しで噛まれる寸前だった。3針はいっていたと思う。危うく遠征が終わるところだった…。(今思えば何故手で掴もうと思ったのか、普通にダメだろ)

京都では河川や水辺にヌートリアが大繁殖し、巣作りの為に護岸に穴を空けて問題になっているらしい。全く別のポイントではあるが、ヌートリアが多数見られた↓

京都のとある住宅街付近にて撮影

 

Y氏にヌートリアの写真を送ると「シメて持って帰ってきて!!食べよう!!」と返事が来た。

既に逃していた…。

良かった、ヌートリアも…僕も。

仲間がついに

雨で濡れた岩に張り付いた紅葉が季節を感じさせる。

その日は朝から雨が強く打ちつけていた。岩場が雨で濡れるととんでもなく滑りやすく、ロッドを片手に歩くのは危険すぎるという事で早朝の釣行は見送られた。しかしそれでも狙わずにはいられないのがビワコオオナマズの魔力のような部分であるように思う。少し雨が弱まった頃、べつに抜け駆けするでも無くお互いにフラフラと水辺に立ち寄っていたのである。雨の中キャストを続けていると、S氏から着信が入った。「釣れた!今蘇生してるからすぐ来て欲しい!」という連絡であった。駆けつけるとS氏とビワコオオナマズがポイントで静かに待っていた。86cm、綺麗なビワコオオナマズだった。計測と写真撮影を行い、リリースした。見守られながら悠々と泳ぎ去っていくその魚影は本当に美しかった。僕も撮影はしたが、彼の釣ったビワコオオナマズには触らないようにした。もし初めてビワコオオナマズという魚に触れるならば自分が釣った魚にしたいと常々思っていたからである。

僕は嫉妬心など微塵も湧き上がらず、20日間近く諦めずにずっと粘っていたS氏が先に釣り上げて当然だと思ったし、同じ魚種を狙い、同じ苦労を分かち合う仲間として、彼の努力と苦労が僕よりも先に報われた事が本当に嬉しかった。

別れと約束

苦行とも言える挑戦から開放されたS氏から「君に会えた事が一番良かった」「釣れるまでやったら絶対釣れるから、信じて頑張れ!」と激励を受け、固く握手を交わし、お礼の言葉とともに「絶対釣り上げます!」と約束をした後に彼の帰りを見送った。晴れやかな後ろ姿だった。

そして自分の番

まだ時間は十分にある…。自分にもチャンスは残っている。自分自身にそう言い聞かせ、僕はS氏から貰ったアドバイスを愚直に実行した。立ち位置、キャスト方向、巻き方、速さ。釣れると信じて投げ続けた。

S氏が釣り上げたビワコオオナマズが吐き出したベイトを見せて貰ったところ、色んな人がオススメするレンジバイブ80のサイズ感とほぼ同じで、10cm前後のベイトを捕食しているのは間違いなかった。

溶けてしまって種類はわからない。

レンジバイブ80、少し小さいがJACKALLのノッキンジョー(メタルバイブ)等をローテーションしながら繰り返しキャストし、時折リフト&フォールさせながらタダ巻きメインで探り続けた。

途中S氏から、一緒にいた場所に水温計を忘れてきたから良かったら使って!ついでに水温教えて(笑)という連絡が来たので、浅瀬に沈めていた水温計を確認すると、約17度ほどだった。

1目盛り2度

水温を連絡した後、そこまで低水温じゃないなら活性も悪く無さそう…なんて思いながら淡々とルアーをキャストし続けた。

S氏によると、ビワコオオナマズは河川を回遊しているらしかった。そして釣りをしているポイントへの回遊が重なれば、夜釣りのイメージがあるビワコオオナマズも日中に釣れる事が判明した。なんとかポイントやパターンが絞り込めたものの、この日は最終日前日となっていた。

4時間ほど投げ続けた頃、腕時計を見て「あと15分で時合いが終わる…、残り時間投げ切って今日は終わろう…」と考えてから何投目かのキャストで、

何の前触れも無く突然、

ドスンッ!!

 

という強いアタリがきた。

またバスか…?!
数日前に本命と勘違いする程の強いアタリと引きを見せた55センチのバスが脳裏をよぎる。ぬか喜びはもうゴメンだと、妙に冷静だった。

PEラインがガイドに擦れ、ギュンギュン音鳴りし、ロッドが一気に絞り込まれる。

ジャーーッ、ジャーッ……!
リールから激しくラインが引き出される。ドラグを締め込みハンドルを巻くと、一瞬だけそのシルエットが浮き上がった。

体を大きくくねらせ、全身で抵抗する青白い魚影…
一気に心拍数が上がるのを感じた。

「バスと違う、ビワコオオナマズや…!!!!」

 

「無理矢理にでも上流に誘導しないと激流になってる所に入られたら獲れないよ」
S氏の言葉を思い出す。

なんとかして上流にビワコオオナマズの頭を向けようとドラグを強く締め込んだが、あっという間にラインを引き出されてしまった。
まるで魚が全身で流れを受け止めて、水流を使って下流に逃げ込もうとするような感じだった。
実際そうだったのかもしれない。
ロッドパワーには不安は無いが、この時はリールはアンタレスDCを使っていた。軽めのルアーをキャストするためのタックルセッティングだった為、ドラグはカルカッタコンクエストより劣る。だが、現実的に魚が掛かったタックルで勝負するしかない。

これでバラしてしまったらもう後は無いと思う不安感と、ついに憧れのビワコオオナマズが掛かったという興奮で僕の心拍数はとんでもない事になっていた。
2年目にして初めてビワコオオナマズがルアーに掛かったのだから、当然である。

ロッドは根本からブチ曲がり、さらに強くドラグを締め込んだのにどんどんラインが引き出された。

もはや暴力的とも言えるそのパワーは、マナマズのような激しく首を振って暴れながらも、割とあっさり抜き上げられるそれとは完全に別次元の引きの強さだった。

思わず「上がってこいッ…!!!」と声が出る。

激流まであと1メートル程の所でドラグをフルロックし、スプールを親指で押さえつけて「止まれ…止まれッ!」と祈るも、無情にも魚は止まらず深場から浅瀬に落ち込み、水が砕けて白く泡立つ激流に吸い込まれるようにして姿が見えなくなった。

「しまった…!」

さらに岸から数メートル奥にある、水面から飛び出した岩にラインが引っ掛かってしまい、巻き取れなくなってしまった。まさにS氏がバラしたと言っていたポイントだった。やってしまった……。

6日目にしてようやく自分に巡ってきた貴重なワンチャンス、ワンバイトがこんな呆気なく終わるのか?と思った瞬間に頭が真っ白になった。今この魚を逃せば、もう次は無い気がした。正直もうダメだと思った。

とはいえ、引っかかったラインの先を、何もついていないルアーをまだ確認していない。簡単に諦める訳にはいかない。

少し焦りつつも、しばらくラインを張ったままにしていると、岩にラインがゴリゴリと擦れる感覚と魚の重みが伝わってきた。

まだチャンスがあると分かった瞬間に、再び心臓の鼓動が激しくなる。

何日もルアーを投げ倒した事で、その岩の手前は岸からずっと浅瀬になっている事を把握していた。そして水温の事も同時に思い出していた。

「たしか今日の水温はそんなに低くなかったな…」

そう思った瞬間、迷いは無かった。
11月の川に、飛び込むように膝下まで入水した。(膨張式のライジャケはつけていた)

アドレナリンが出まくっていたのか、冷たさどころか、何故か水温さえほぼ感じなかった。
思い返せば、この時は完全に頭に血が上っていたと思う。

ラインの引っかかった岩の手前まで猛ダッシュで近づきロッドで数回弾いてやると、引っかかったラインが外れ、またあの強い引きがロッドを大きくしならせた。

よし、まだ掛かってる…!!!(もはや奇跡としか思えなかった)

ラインが岩から外れた事で抵抗が軽くなり、再びビワコオオナマズはどんどん下流に逃げていく。
ジャーーッ…ジャーーッ…っとさらにラインが出され、思わず
クソ!!!行かせるかぁあああ!!!!、と腹の底から大声が出た。当時28歳にしてこんな言葉を本気で叫ぶ日が来るとは思わなかった。

膝下まで水に浸かった事で、もはや靴を濡らさないように…などという余計な心配が無くなり、ある意味無敵状態になった僕はリールをガンガン巻きながら、川の浅瀬を走り、激しく水しぶきを上げながらビワコオオナマズを猛追した。
「絶対に逃がすか!!どこまでも追いかけてやる!!!!」そんな気持ちだった。

体感時間はどれぐらいだったか、長かったようにも短かったようにも感じた激闘の末、10メートルほど先の岸際の浅瀬にビワコオオナマズが突っ込むような形で寄ってきた。今となってはそんな訳は無いとは思うが、その時はまるで魚が自ら岸際に上がってきたように見えた。

このチャンスを逃すまいと必死で走って追いつき、その大きな口に親指を突っ込んで、歯で指が切れるのも構わずに引きずり上げた。

ついに獲った!!

その瞬間

「うぉおおおおおお!!!!!
やっっったあああああああ!!!!!!
やったぁーーーーーー!!!!!」

 

興奮、安堵、達成感、感動……様々な感情が入り混じり、それらは雄叫びのような声となって溢れ出た。叫んだところで誰の迷惑になるような場所でもない。ビワコオオナマズを抱きかかえたまま膝から崩れ落ち、喉が潰れるほど叫んだ。

苦闘の果てに、ついに憧れのビワコオオナマズを釣り上げたのである。

嬉しすぎる…

ついにやったぞ!という気持ちと、これまで感じた事がない程の嬉しさが何度も全身を駆け回り、気が付けば涙がこぼれていた。

今までの人生で、達成感から感動の涙を流すほどに真剣に物事に打ち込んだ事があっただろうか…。

サイズは違えど、あの日見た…紫がかった青色の魚体に見惚れてしまう。

口からエラに向かって手で水を送り、しっかり蘇生を行う。

十分に蘇生を行い、メジャーを当てるとS氏が釣ったのと同じ86cmのビワコオオナマズだった。体の傷や特徴からそれぞれ別個体である事は明らかであったが、違う県からやってきた遠征者二人が仲間となり、同じ日に同じサイズのビワコオオナマズを釣り上げるという、なんとも不思議な体験にまた感動を覚える一匹となった。

言葉に出来ない充足感と達成感に包まれながらS氏に連絡すると、「やっぱり!絶対釣れると思った!おめでとう!!」と祝福の言葉を頂いた。

二人とも釣り上げて、お互いの名前が入ったデジタルカラー魚拓を作ろう!という約束もしていたので、なんとしても釣り上げたかった。

水温計を見ていなければ、11月の低水温にヒヨッてしまい飛び込むことを躊躇っていただろう。これもまたS氏のおかげであると思う。

実寸より大きく見える撮り方だが、それでも良い。

 

魚の状態に注意しつつ撮影と観察を行った。これが日本三大怪魚か…と、しげしげと眺める。

アドレナリンのせいか痛くなかった

短くも鋭い牙が密集するその顎は、暴れる度に掴んだ親指の腹を切り裂いた。

治るまで嬉しい勲章だった。傷を見る度に釣り上げた事を実感し、ニヤついた。

自分も釣り針を刺しているのだから、それぐらいされても当然である。

口のサイズどころか、並んだ歯もマナマズの比ではない。

ビワコオオナマズは非常に大きな口で獲物を吸い込むように捕食する。密集した歯は形状的に噛み千切るタイプではないが、強力な滑り止めとなり、大型のブラックバスにも噛み付いて逃さずに捕食出来るだろう。

落ち着いて観察すると、個体数の少なさからだろうか、他のアングラーによって付けられたであろう針傷が目立った。広大な琵琶湖本湖と違い、ポイントが狭まる河川では傷のないフレッシュな個体に出会う事は難しいのかもしれない。自分もまたこの魚に傷をつけてしまった釣人のうちの一人である事を自覚し、自力で泳ぎ出すまで蘇生の時間をたっぷりと取って、丁寧にリリースした。釣った魚をどんなに丁寧にリリースをしても、決して魚にとってプラスになることは無い。非常に申し訳なく思う。なら釣るなと言われればそれまでだが、野生の個体に出会い、手で触れて、じっくり眺めて、牙で怪我する事が出来る(笑)のは水族館や展示の魚では決して出来ない事だ。

また、本種を狙って挑戦し続けた事で魚釣りという枠を超えて、物事への考え方も大きく変わったように思う。諦めずにやり遂げた事で自信もついた。

動画から切り抜き。感謝と申し訳ない気持ちで見送った。

リリースした時の、手からスルリと抜けて泳ぎ去った瞬間が忘れられない。

帰路

無事に泳ぎ去っていく姿を見送った後、せめてもの恩返しにと簡単ではあるが釣り場に落ちていたゴミを拾って帰った。

何度も感じた敗北感と悔しさに、うなだれて歩いた河川沿いの歩道…。その日は言葉に出来ない満足感と達成感に浸って歩いた。しかし、目標のビワコオオナマズを釣り上げた今、もうこの道を歩くことも無くなるのかな…?という少しだけ寂しい気持ちも入り混じった。何度も悔しさと無力感を味わい、何度もリベンジを誓ったこの帰路。

遠征出発前に妻と観た映画のエンディング曲を聴きながら歩いている時、「この道が続くのは 続けと願ったから また出会う 夢を見る いつまでも」という歌詞に不意に感極まって、一人歩きながら再び涙する事になったのは良い思い出です…。(が、書きながら思い返すと、相当キモいです、自分。)

目的が果たされ心に余裕が出来たからか、今までモノクロに見えていたような景色、街並みが突然、色鮮やかに目に入ってきたように感じて、感情次第でこうも見える世界が変わるのかと驚いた事を覚えています。(ていうかどんだけ余裕無かったの…)

きれいな街並みと青空が清々しい。

 

 

 

 

 

 

 

人混みの喧騒さえ心地よかった。

Y氏と、その彼女からも祝福の言葉を頂き、その日の晩はタコパで盛り上がった。6日間の食費に少額ながらお礼を足して渡したが、この成功から考えれば足りないぐらいである。

彼とは今も交流があり、仲の良い友人になれた事を嬉しく思う。

たこ焼き、鶏の軟骨。図々しくも腹いっぱい食べた。最高にうまかった…

タックルセッティング

ビワコオオナマズを狙ってみたい、またはチャレンジ中の方へ、少しでも参考になればと思うので自分の使用したタックルセッティングについて書いていきます。

Y氏宅にて撮影

ロッド:モンスターキス/Dear Monster MV−65(後継モデルはMX−65)

リール:シマノ/21アンタレスDC

ライン:VARIVAS/アバニCasting Max PowerPE 3号

リーダー:フロロ60lb

ルアー:ジャッカル ノッキンジョー3/8oz カラー/擬態ギル 純正のダブルフックからボンバダの播州強靭鈎#8に交換

ボビンを使ったPRノットにVARIVASの「結びにシュ!」で結束部を補強しました。数値的な強度は僕にはわかりませんが、少しでも不安要素を排除したいという気持ちからの一工夫です。

ロッドは投げたいルアーの重量に適したブランクであると同時に、なるべく強いモノを選ぶことをオススメします。河川でヒットしたビワコオオナマズのパワーは想像以上です。

ビッグベイト等をキャストする時はモンスターキス社のDear Monster MX−7に23カルコン400、VARIVASのPE5号という組み合わせを使っていました。

リールに関しては記事にも書いた通り、アンタレスDCはドラグがあまり強くないのでベストマッチではありません。僕個人の一例だと思って頂ければ幸いです。

使用するラインの太さについても、細糸であるメリットは無いように思います。先に釣り上げたS氏からも、40lbリーダーでは歯で削れてラインブレイクした。と聞いています。強度とルアーの操作性を考えてリーダーは60lb、メインラインはPEの3号以上がベストかな?と思う所ですが、強度を意識しつつも、各々のフィーリングに合ったものを選択すれば良いかなと思います。

バス用のルアーを使用しましたが、本種を狙って釣るならフックとリングは必ず強化したほうが良いです。ソルトウォーター用のST46以上の強度があるトレブルフックをメインに、小さなメタルバイブにはボンバダ製の小さくて太軸のトレブルフックを使用しました。(僕たち一般のユーザーはメーカーに忖度する必要はないので、様々なメーカーの道具を組み合わせれば良いかなと。)

バイトチャンスはそう多くありません。「ま、これぐらいいいか…」「少々大丈夫だろう…」というセッティングはファイト時に自分の弱みになりかねないので、「これなら完璧だ!」と思えるセッティングで挑むのがベストだと思います。(ドラグ力不足で散々やられましたが笑)

タックルとは少し離れますが、濡れた岩場は本当に良く滑るので、グリップ力の強いスニーカー等をオススメします。

また、持ち込むルアーについても数には余裕を持たせたほうが良いかなと思います。

根掛かりロストや、うっかり対岸の岩場にぶつけて破損が頻発しました。遠征後半にもなると手持ちのルアーがどんどん無くなり、さすがに中古ルアー店に駆け込みました。

結果的に持ち込んでいたルアーで釣りましたが…。

大破、ひび割れ、浸水…。ロストせずともダメになったルアーは数知れず。

また、S氏から頂いたアドバイスの中で最も心に残った言葉は「釣りたければルアーに対するこだわりを捨てる事。」です。これはエサを使え、ということではなく、「好きなメーカーのルアーで釣りたい!」だとか、「ビッグベイトで釣りたい!」だとか「このルアーじゃないとダメ」という先入観や価値観を捨てろ。という事です。魚にメーカーは関係ない、釣れるときは100均ルアーでも釣れる…。こだわりも大切だけど、時に柔軟な思考で、自由な発想で、他の人があまり投げないようなルアーをキャストする事も自分の中の引き出しを増やしてくれるのではないかなと思います。

ここまで長々と書いてしまいましたが…

諦めずに、最後までやり続ければ必ずビワコオオナマズは釣り上げられます!

 

どんなに時間と金銭が掛かろうと、一匹釣れば全てがチャラになります。それほどの感動が、この魚にはあると思います。

貴方の熱意を応援しています!笑

最後に

ここまでかなり長くなりましたが、チャレンジの記録としてブログという形に残したく、長々と書き連ねた記事になりました。読み手の負担やプライバシーも考慮してかなり削った部分はありますが、それでも自分の書きたかった、思いの詰まった文章になりました。

ビワコオオナマズの生態について記事の序盤にも書いたように、年々個体数の減少が認められている種類であり、その原因には人間の生活という事情が大きく絡んでいるようです。

琵琶湖周辺では増水時に人々の生活を守るべく、水位調整が絶えず行われているそうで、その場所がビワコオオナマズの産卵場所と重なるのだそうです。せっかく苦労して産卵しても、水位調整で干上がり卵がダメになってしまう…。琵琶湖周辺に住まう人々の生活や安全には代えられない部分であり、魚と人間を天秤にかければどうしても人の命や生活が優先になってしまうけれど、いつか人の暮らしと自然がうまく調和する日が来ることを心から願っています。

また、僕が立ち続けた河川の上流にあるダムは一時期は自ら命を絶つ方が非常に多い場所となっていたそうです。今でもダムの堰堤には自殺防止の為の柵があり、人の心を落ち着かせる為の青いライトが夜に光ります。夜釣りの時に不意に見上げて、あの高さから…と想像し、思わず身震いしたものです。

 

苦境に立たされ心身ともに追い詰められ、自ら命を絶ってしまう人がいるダム直下の水辺で、どんなに逆境に立たされても必死に生き抜き、懸命に自らの命のバトンを次に繋ぐ魚がいる…。そんな相反するような二つの事情が一つの水の流れとなり、どこまでも続いていく…。

魚釣りという趣味を通して、僕にとって様々な事を考える機会をくれたチャレンジとなりました。

応援してくれる人、批判してくる人、冷やかしてくる人もいれば面白がって話を聞いてくれる人、様々な出会いの中で生まれた人との縁を忘れずに、次の挑戦に繋げて行きたいと思います。

協力してくれたY氏、共闘したS氏、遠征に行かせてくれた妻、SNSを通じて応援してくれた方々、その他大勢の人、そしてこの記事を最後まで読んでくれた貴方、本当にありがとうございました。

おまけ

最終日は温泉に入って帰りました。番号は釣り上げたビワコオオナマズのサイズと同じ86

御守として持ち歩いた、自分が釣り上げた黄色いナマズの写真

裏には手書きで「夢は叶う!!」の文字

 

釣り上げたブラックバスのバーガー。タルタルはY氏彼女の手作り。うまかった…

香川ではあまり見ないニゴイ

40アップのバスとツーショット

旧発電所跡

水路を泳ぐ鯉

遠征初回の真夜中。右も左もわからず彷徨い、本当にキツかった

「超高反発マットレス」と呼んだ岩場。 布団の有り難さを思い知る

帰り道、美しく光る京都タワー。

S氏と作ると約束したデジタルカラー魚拓。 宝物として部屋に飾ってある。

記事の中に使い切れなかった写真をまとめて。自分にとって、京都は非常に思い出深い土地になりました。

最後までありがとうございました。

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