冬の沖縄釣行(外来淡水魚編)

沖縄釣行

海辺で見つけたアダンの実。食べてみたかったが、まだ青い。

僕はとあるハゼ科の魚を求めて、沖縄本島北部をレンタカーで走っていた。

目星を付けていた河川、水路は全てアテが外れた。

魚の姿も、アタリも無かった。

そして僕は食アタリした。

さて在来魚は…

遠征終盤、海釣りに見切りをつけ沖縄の淡水魚を求めて、ライトタックルだけを持ち北部へと車を走らせた。

愛用するディアモンスターシリーズの中でもさらにコンパクトでライトなモデルだ。

Googleマップで見つけた水辺を目指してひた走り、到着したら車から降りて川沿いを歩き倒す。僕の釣りは基本的にどこに行ってもこのスタイルだ。

結論を言うと全く釣れなかった。

魚影さえ見つけられず、疲れ果てて帰る事に…

 

異変

出発する前に食事をしてから8時間近く固形物を口にしていなかったのだが、運転中に謎の膨満感で「ふぅ…うっぷ…」という状態に。自分の運転で車酔いなどするだろうか?なんて首をかしげながら、休み無く釣りと移動を繰り返して疲労も溜まっていたから終盤でドッと疲れが来たのだろうと、近くの道の駅で30分ほど仮眠を取ることにした。

…のだが、仮眠中に腹痛と気分の悪さで目が覚めて、

トイレに駆け込み盛大にリバースした。

コンビニのトイレでもう一回。

ホテルに着いてもう一回。

以下カウントせず。

おまけに強烈な腹痛と、インフルエンザの時のような全身の倦怠感で完全にダウンした。

体を温めようと風呂に入ったが、出てから洗面所にもたれかかったまま体を起こせない程キツかった。

この「大アタリ」は完全に想定外だった。

XやLINEで状況を報告したら、「変なもんばっか食ってるから」「オオウナギ」だの「プレコ」だの言われたのだが…、言われなくても自分でも一瞬そう思ったが淡水魚といえど新鮮なうちに完全加熱した料理で食アタリするなど考えにくい。心当たりがあるとすれば昼前に食べた「テビチ(豚足の煮込み)」だ。「まだある?あ、冷蔵庫に1食分だけ残ってた」なんて不穏な会話がカウンター越しに聞こえていたのを思い出した。病院にも保健所にも行ってないから100%の確証は無いし、店名は伏せさせて貰うが心当りはそれしか無い。

上も下も大洪水。

(帰宅して数カ月後、開封して三日目の焼豚で再び食アタリした。どうやら僕は時間の経った豚肉とは相性が悪いようだ。)

体調を整えるべく夜はさすがに断食したが、いつ嘔吐下痢が爆発するかわからない状態の僕は、渋滞等も考慮すると、すぐにトイレが確保出来ない場所に移動する事が出来なくなってしまった。

レンタカーの車内で下痢便を爆発させるなど決して許されない。

 

早く本題に移れとツッコミが入りそうだが、この記事は旅行記、備忘録として書き記しているので広い心で読んでくれると有り難い。

国際通りに24時間営業のドラッグストアがあり、まさに地獄の中の仏だ。

外来魚天国、沖縄

国際通りのとある水路(ドブ)には非常に多くの外来魚が生息しているというのは有名な話だ。この記事にサブタイトルを付けるならば

破滅の水路(無限外来魚編)で間違いない。

ティラピア

タナゴ針に練りエサをつけて水路に垂らせば、あっという間に釣れたティラピア。今回の沖縄釣行ではほとんどの河川や水路でティラピアを確認することが出来た。

四国香川でいうところのブルーギルのような感じだろうか。プレコを狙っている時もティラピアが無数に釣れた。

実は四国のとあるドブにもティラピアが生息していて、過去に何度もチャレンジした事がある。スレきっていて1匹を釣るまでに苦労した。ところが沖縄では1月であっても入れ食い状態だった。あの苦労は一体…。

 

四国で釣ったティラピア。スレているしサイズも小さい。

 

ティラピアの味についてだが、タイはバンコクで美味しく食べた事がある。油で揚げた上に臭み消しに香辛料をたっぷり使っていた事もあり、癖や臭みを感じない非常に美味しい白身魚だった。タイではダム等で養殖されており、食材として広く扱われている。詳しくは割愛するが、上皇明仁様が陛下だった時にタイの食糧事情があまりよろしく無かったという事からタイ国王に贈った事が始まりらしい。タイ王国においても外来魚という事だが、沖縄では完全に「害魚」と言って差し支えないレベルで増えてしまっている。本種に限った話では無いし、在来魚減少の原因全てを外来魚に押し付けるつもりはないが、沖縄の水路で在来の純淡水魚を見る事は一度も無かったのに対してティラピアだけはほぼ全ての水辺で見ることが出来た。(オオウナギに関しては在来魚だが、降海するので純淡水魚から外して考える)

沖縄ではこういった外来淡水魚の駆除に対して行政が力を入れているような印象は無い。外来魚駆除を行う機会も乏しいように思う。

沖縄に限らず、実害もこれと言って顕著に出ず金にもならない環境保全に予算は出さないという姿勢なのかもしれない。

一見害が無さそうに見えても外来種は生息するだけで必ず影響は出るとされている。(食べられて減る餌、排泄するフン、産卵場所など)

琵琶湖においては、ブラックバスをただ殺処分するだけではなく肥料等に加工して野菜作りや地域の緑化に役立てるなどの方向で活用しているらしい。個人的に心が痛むが、ただ殺処分するだけでなくて活用するという前向きな姿勢で対策をしている自治体を参考に頑張ってほしいなと思うところだ。

ちなみに沖縄で釣ったティラピアも食べてみたかったが、四国で釣ったドブのティラピアは鬼のように臭かったので気が進まなかった。加えてタイで食べた美味しいティラピアのままの良いイメージで保っておきたかったため今回は遠慮した。

学生時代に好きだったあの子に久しぶりに再会したら、めちゃくちゃ残念な感じになってた。というのは辛い。綺麗な思い出は綺麗なままにしておきたいのだ。

シクリッド

ティラピアに混じり、縞模様のある魚がうろちょろしている…

これシクリッドだろ…!と思って何度か餌を沈める。食いついてくるのだが、すぐ吐き出す。

なかなか針掛かりせず、難しい。

練りエサのサイズを小さくしたり、アワセのタイミングを変えたりしながら粘っていると…。

ついに釣り上げた。熱帯魚にはあまり詳しく無いが、恐らくコンビクトシクリッドだ。

意外と警戒心が強いのか苦戦したが、コツを掴むと簡単に釣れるようになった。

・餌を魚の口に入るサイズに小さく付ける。

・吸い込んで見えなくなったらフッキングする。

サイト戦略でパンパン釣れるようになった。

中央アメリカ原産の魚が、沖縄で釣れるなんて…。絶望と感動に包まれながらひとしきりシクリッド釣りを楽しんだ。

国際通りは中学生の頃に修学旅行で訪れたが、大人になってセルフ慰安旅行もとい、釣り遠征で外来魚釣りの思い出に塗り替えられるとは当時想像もしなかった。

個体によって模様にバラツキがある。

日本の街に中央アメリカの魚

こんな非日常、四国では味わえない。

街と公衆電話を背景にシクリッドを記念撮影した。人の生活圏と生息域が被っているのが、いかにも外来魚という感じだ。元は観賞魚として売られ、飼育されていた個体が放棄されて繁殖してしまったのだろう。

観察ケースがいっぱいになったらリリースして、計3回ほど「おかわり」した。

熱帯魚としての販売価格は一匹1000円以上する場合もあり、考え方によって高級魚だ。正直食べてみたかったが、恐らくドブのティラピアと同じ味がするだろうと予想し、本種も食べる事は見送った。

王道観賞魚

ティラピアとシクリッド以外にも何か珍しい魚種が釣れないかと探り続けていると、大きく竿が曲がった。

なんだろう?と釣り上げてみると、まさかの金魚?だった。

野生化して先祖返りを起こしているのか、色は金魚だがフナに近い体形になっている。エラ蓋近くの鱗が白銀で、よりフナの片鱗を感じさせる一匹だ。調べていて知ったのだが、「ヒブナ」と呼ばれる色素変異のフナがいるらしい。

フナと金魚が交雑してこのような個体が生まれる事もあるとかで、ますます心配になる。

どちらにせよ人の手で放流された個体で間違いないだろう。水槽で見る分には良いが、野外で釣れると非常に残念である。

デカすぎて観察ケースに入らなかったので、濡らした地面に安置&撮影。

ティラピアにシクリッド、果ては金魚まで…。

釣り上げたのは3種だが、夜の国際通りで魚取りをしている若いお兄チャンがグッピーを掬っていたので撮影させてもらった。

大阪からこれを取りに来たのだとか。

地味でメダカっぽいが、完全にグッピーだった。恐らく野生で何度も繁殖を繰り返すうちに金魚と同じく先祖返りを起こしてしまったのか地味な見た目になっている。完全にこの水路に定着している証拠だろう。金魚、グッピー、シクリッド…飼育する人や業界のモラルが問われる光景だった。

まとめ

沖縄の在来淡水魚を求めて北部までレンタカーを走らせたが、現地での自力探索に拘った結果、今回の旅では見つけることが出来なかった。

街中のドブを始め、国際通りでは外来魚の生息密度に驚くばかりだった。

楽しげに歩く観光客の足元を流れるドブ、誰も見向きもしない所にまで外来種問題は迫っているように思った。釣り人としての業というべきか「やば!やべー!」と思いながらも外来魚釣りを楽しむ自分がいた。

釣りをしていると話しかけてきたボーイ&ガールズも、僕のディアモンスターを片手にティラピア釣りを楽しんでいた。

「そろそろ帰ろ!」という女の子に「あと一匹だけ!!」と粘り、女子を待たせる姿はまさに釣り人の縮図といっても良いだろう。微笑ましい光景だったが女の子は表情が死んでいた。

僕とキッズ達は人目を気にする事なく活き活きと魚釣りを楽しんだ。

いつ頃からか人は他人からの評価や視線を気にするようになる。本当にやりたい事があっても、興味がある事があっても、まるで包み隠すように、興味が無いフリをして素通りしてしまう事がきっとあると思う。

他人からバカにされても、どんな評価を受けても、誰かの迷惑になる事でなければ、自分の好奇心を刺激する事は貪欲にチャレンジしていきたい。これを読んだ人にも、そう思えるきっかけになれば良いなと思いながら僕は文章を書いています。

この魚だって人目を気にしていたら出会う事は無かっただろう。

9日間、自分の内面としっかり向き合う旅になった事が、今でも良い思い出と経験として心に残っています。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

次回は、釣り人目線でみた沖縄遠征(遠征総括編)です。

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