ビワコオオナマズを釣り上げた翌年、勤めていた会社を退職しセルフ慰安旅行と称して単身、冬の沖縄まで飛び立った。
滞在予定日数は9日間。無職の僕はめちゃくちゃ調子づいた。

あいにくの曇天だが、 沖縄の海はいつも心が踊る。

那覇空港、熱帯魚水槽がお出迎え。

なんとも南国らしい。期待が高まってくる。
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初日
予定より少し遅れて那覇空港に到着し、格安レンタカーを走らせてホテルにチェックインした後、日没までの時間、散歩と情報収集を兼ねて近くの親水公園付近で竿を出す事にした。チヌやボラのような魚が見えるが、濁りもあり正直なんだか良くわからない。釣りをしていると地元の人が気さくに話しかけてくる。高校生の男の子から色々話を聞くことが出来たのだが、やはり南国の沖縄とはいえ1月は魚の活性が落ちるらしい。でも釣れない事はないから頑張って!という事だった。初日は移動日の為、短時間しか釣りが出来なかったが地元の人と会話が出来ただけでも正直嬉しかった。
ノーフィッシュだったが、釣りたい魚の事をある程度聞くことが出来たので翌日に備えて晩飯を買い込んで早々とホテルに戻ることにした。

魚よりハトが寄ってくる…
近くのイオンでメカジキの刺し身を見つけ、おお!沖縄っぽいな!と舞い上がるが、醤油とワサビを取り忘れる凡ミスをやらかし初日は終了。
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オオウナギ釣り
ところで皆さんはオオウナギをご存知だろうか。知る人も多いと思うが、単に大きなウナギの事ではなくて、一般的な食用のニホンウナギとは違う種類としての「オオウナギ」というのが日本に生息している。沖縄に限らず太平洋側の地域にチラホラと生息しているらしいが、各県で天然記念物に指定されている事が多く大切に扱われており、個体数の少なさも相まって、狙って釣るには気が引ける。ならば本種が天然記念物に指定されておらず、かつ個体数の豊富な沖縄なら気分良く釣れるだろう。と普段から考えていた。
二日目の朝、魚釣りとは別に南部の方にどうしても行きたい場所があったので、その帰りに北上しつつ、ずっと釣りたいと思っていたオオウナギを沖縄特有の釣り方で狙ってみる事にした。
釣り方というか、使うエサが他の地域ではまず聞かない。(その界隈では知名度が高い話であるが…)
なんとコンビニのフライドチキンを使うというものである。このエサの話は僕の地元の知人や親戚に話しても非常にウケが良かった。
島人から「チキンの強い匂いと脂がオオウナギに効く。それは鯖の切り身でも同じで、ニオイと油が強ければそちらでもよく釣れる。」と教えて貰った。両者とも優秀な釣りエサであるらしいが、やはりコンビニのフライドチキンというのは非常に手軽に手に入り、気温の高い沖縄でもナマ餌と違って管理も楽だ。Lチキ、ファミチキを購入し、僕は意気揚々とドブ&水路に繰り出した。
フライドチキンをフリーリグでキャストする日が来るとは思わなかった。なんとも言えないカルチャーショックを受けつつ、目視でオオウナギを探す事にしたのだが…。
姿が見えないので護岸の下にいるのかな?と思い投げて待ってみても全くアタリが無かった。雰囲気だけは良いのだが、探してみるとなかなか見つからず苦労した。

めちゃ釣れそう!と思ったが不発。

あまりにも魚が見つからないので記念撮影を楽しむ。よく見ると野犬が後ろに迫っている…
簡単に見つからないが焦っても仕方ない。まだ二日目だ!と景色を楽しみつつポイントを探して、最後に目星を付けていたとある水路でオオウナギを発見した。(6時間以上探した)
だが見つけたオオウナギは護岸の隙間に頭を突っ込んでいるので何度エサを投げても反応しなかった。仕方ないので違う個体を探すことにした。もちろんファミチキを追加して。
スレているのか警戒心が強いのか、僕の気配を察知してすぐに逃げる個体やキャストした着水音で逃げる個体が多く、見つけてからもなかなかうまくいかなかった。どことなく水路のナマズ釣りに似ている気がした。
しばらく探していると障害物から完全に姿を出してじっとしている個体を見つけたので少し遠目にキャストして目の前にチキンを通した。
すると突然ビクっ!と動いた。
「あー…コイツ逃げるかも…」
なんて思っていたら
まるで怒り狂ったかのような勢いでフライドチキンに噛みついてきたのだ。
「ファミチキで釣れるってマジか!!」
早アワセ厳禁、完全に口の中に入った事を確認してフルフッキング!(チキンって水中での視認性が高い…)
ヘビータックルで有無を言わさずぶっこ抜く!

ずっと釣りたかった!ていうか当時の僕、太ってる…
根に潜られてもぶっこ抜けるようにと、ロッドはディアモンスターMX−∞、リールはエラン・スーパーワイドパワーの組み合わせでPE8号にフロロ130lbリーダー。フックはバーブレスにしたソイ針14号(切られたり飲まれたりして魚に針や糸が残る可能性を下げたかった)
釣り上げるまで結構時間が掛かったけど、沖縄のファーストフィッシュは念願のオオウナギ。

サイズは90cm
オオウナギ実食
僕は出来れば何でも一匹は食べたい派なので、キープしてホテルまで持ち帰った。そのためにキッチン付きのホテルを予約したのだ。オオウナギをフィッシュグリップで掴んだ写真をネットに上げると炎上するんだっけ…?じゃあどうやって持つんや?なんて思いながらバス持ちして親指を噛まれて出血した。どうせ食べるのなら別に…などと考えたが、噛まれてから考えてももう遅い。

一度は食べてみたかったのだ。
口内を観察すると、しっかりとした歯が生えている。噛む力も思っているより強いので、安易に指は入れてはいけない(戒め)

オオウナギらしい模様だ

ホテルの小さなまな板と持参したナイフを駆使して開く

米はパック飯で。
ヌメリを処理しつつ、とりあえず開いて、鍋を駆使して蒸してから蒲焼にしてみる。見た目は非常に美味そうだが、箸をつけた時点で分かる。驚くほど身がギュッと締まっていて、よく知るニホンウナギのフワフワ感は皆無だった。無数の小骨があり食べにくい。皮も身も固い。脂身の無い筋の固い豚肉をソテーして、鶏の胸肉を足したような身だった。鶏と豚の悪いとこ取りとでも言おうか。自分の知っているウナギとはかけ離れている。見た目が完璧にウナギの蒲焼だけに落胆したが、ホテルの調理器具ではこれが精一杯であった。なら皮を引いて鶏天風にしてみたら…と思い試行錯誤。後日、採ってきた山菜と一緒に天ぷらにしてみる事に。

血合いが非常に鮮やかで美しい。

オオウナギとオオタニワタリの天ぷら。「大」アタリを期待したが…
結論から言うと、これも固くて食べにくかった。山菜も固かった。石垣島で美味しく食べた事のあるオオタニワタリでさえ、時期のせいか本島で取ったものは固かった。全てが固かった。(でも完食した)
昨今、ニホンウナギの絶滅が危惧されているが本種がニホンウナギの代替にならないのも頷ける。なるならとっくにレッドリスト入りしていただろう。一匹食べてみた事で、食材としてではなく釣りのターゲットになる訳だ…。と改めて知ることが出来た。味の評価としては申し訳なくも低くなってしまったが、自分で探して釣って食べるという貴重な経験をくれたオオウナギには心から感謝したい。
恐らく今後食べる事はそう無いと思うが、美味しい食べ方を知っているという人がいたら是非教えていただきたい。(Wikipediaによると固いので煮込みで食べるとの事だが…)
再び沖縄に釣りに行く時はオオウナギをビッグベイトで狙ってみたいと思う。障害物に身を寄せている事が多いのでタックルセッティングは強めにし、エサ釣りの場合では飲まれにくい大きめの針を使ってサイトで狙い、エサ、ルアー問わずどちらもバーブレスフックにする事で安全にリリースをする為の工夫として意識したい。
近年では釣り物としてのオオウナギ人気があるようで、一時期に比べるとサイズも数も減ったと耳にする。一匹食べた事もあり、今回の旅では二匹目は狙うのをやめた。(万が一死なせてしまうと食べる量も増えてしまうので最初から置き針仕掛けも避けた)長く釣りを楽しむという観点からも食べないのならば素早く安全なリリースを心掛けたいところだ。
興味があれば是非、パワーのあるタックルを用意して、街を流れる水路でオオウナギを狙ってみてはいかがだろうか。
次回
次は沖縄プレコ編です。(こちらも実食あり)
気長にお待ち下さい
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